暮らしの裏ワザ事典
2009年 11月 3日

頸椎症性脊髄症

40代を超え、手足のしびれや運動障害、歩行障害はありませんか? 便秘、排尿障害などの膀胱直腸障害はありませんか?

キーワード: 元気なカラダ入門 血液
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40代を超え、手足のしびれや運動障害、歩行障害はありませんか? また、便秘、排尿障害などの膀胱直腸障害はありませんか? 心当たりがある人は、ひょっとしたら、患者が増えている「頚椎症性脊髄(けいついせずい)症」かもしれない。

この疾患は、背骨の頚(くび)の部分である頚椎が加齢によって変化し、椎骨に新しい骨である骨棘(こつきょく)ができたり、椎間板が薄くなったり、断裂したり、靭帯(じんたい)が厚くなったりして、脊髄を圧迫するようになり、前述の症状を引き起こす。

4肢の神経障害がでるので、箸が持てない、服のボタンが留めにくい、手すりにつかまらないと歩けない――。このようにQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を悪くする。そればかりか、対応が遅れると車椅子生活や寝たきりにもなってしまう。男性が女性の2倍多く、加齢以外には、頚の外傷経験があったり、若い頃から激しいスポーツをしていたりするとなりやすいといわれている。

ちょっとした手足のしびれなどの運動障害がある人は、神経学的所見を診るための「10秒テスト」を自分で行ってみよう。これは腕を前にのばして手で「グー」「パー」を10秒間で何回できるかをチェックするだけの、いつでもどこででもできるテストである。普通は25~26回くらいはできるものだが、一応、20回以上が正常。20回以下の場合は脊髄障害が疑われてしまう。

治療は、軽症の場合は保存療法が一般的となる。これには「薬物療法」「装具療法」「頚椎けん引療法」「温熱療法」「生活指導」がある。

薬物療法では神経の働きや血液循環をよくするためにビタミンB12、Eが使われる。手指にしびれがあるときである。痛みが強いと消炎鎮痛薬、筋肉が硬くて肩こりの強いとき、手の動きがぎこちないときには筋弛緩薬が使われる。

痛みが急性の場合は1週間程度、ステロイド薬が使われることもある。また、血液循環をよくするために、血管を拡張するプロスタグランジン製剤も使われる。このほか、患者が眠れないときには抗不安薬も――。ただし、高齢者には抗不安薬や筋弛緩薬はあまり使われない。それは服用すると転びやすくなるケースがあるからである。

装具療法は頚椎に負担をかけないように、首に巻きつける「頚椎カラー」。頚椎けん引療法は神経への圧迫を軽くするために、首をけん引する方法。温熱療法は電気、超音波、極超短波などで患部を温める。生活指導は、「上ばかり見ない」「転ばないようにする」「寒い日は外出を控える」など。

そして、歩行障害や運動障害がでていると、手術選択も行われる。狭くなっている脊髄の通り道の脊柱管を広げて圧迫をなくすのである。今日では、身体に負担の少ない内視鏡的手術も行われ始めた。手術の選択、手術のタイミングについては、セカンドオピニオン(主治医以外の専門医に意見を聞く)を採って最も良い選択を行うべきである。

【食生活のワンポイント】

頚椎を悪くしないためには、以下の3点が勧められる。

(1)タバコは吸わない!
 実は、「生活指導」として禁煙指導が行われている。なぜか昔から「喫煙者はなりやすい」といわれている。

(2)ビタミンB12を十分摂取する!
 ビタミンB12は末梢神経に働きかけ、手足のしびれなどを改善する。多く含んでいる食品としては、焼きのり、しじみ、鶏レバー、まぐろ、すじこ、たらこなど。

(3)ビタミンEを十分摂取する!
 ビタミンEは血液をサラサラにするとともに、血管の動脈硬化を防ぐ。多く含まれている食品は、アーモンド、ピーナツ、キウイフルーツ、いわし、たらこ、カボチャなど。

プロフィール

松井 宏夫

医学ジャーナリスト

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