
「フェアなえこひいき」が組織の潜在力を引き出す
上司は部下の能力に応じて、接し方を意識的に変えよ
マネジャーは部下をえこひいきしてもよいものか。答えはイエス。ただ、やり方については慎重に。
文=ローレン・ケラー・ジョンソン 翻訳・ディプロマット
マネジャーは部下をえこひいきしてもよいものか。答えはイエス。ただ、やり方については慎重に。飛びぬけて優秀な人材に注目するあまり、堅実に働く人材への目配りを忘れると、ツケは自分に回ってくる。
リーダーは、直属の部下たちが各自の潜在能力をフルに発揮する手助けをするという重要な責務を負っている。しかしその一方で、リーダーの時間やエネルギー、予算は限られている。では、各人から最高のパフォーマンスを引き出し、それによって組織の最高のパフォーマンスを実現するために、その限られた資源をどのように配分すればよいのだろう。
スター・パフォーマーは、最高の褒賞はもちろん、マネジャーの時間と関心を最も多く与えられてしかるべきだ、と主張する専門家に従えばよいのか。それとも、遇し方に差をつけたら、目立たぬところできちんと仕事をしている有用な社員に疎外感を抱かせ、社員を分裂させることになる、と思っている人たちのアドバイスに従うべきなのか。さらに別の専門家は、マネジャーは自分のエネルギーの大部分を悪戦苦闘している社員につぎ込むべきだと主張している。
また、上司が部下の遇し方になんらかの差をつけるべきだと実際に思っているとしたら、それが自分の部署や会社にとって最善の結果を得る一助になることをどうやって確認すればよいのだろう。最も重要な点を挙げるならば、最も輝かしい仕事や褒賞を与えられない社員が疎外感を抱くのをどうやって防げばよいのだろう。
コツは次のような実証済みの方法に従うことだと、学者もビジネス・リーダーも口をそろえて断言する。
(1)部下のタイプに応じて「価値」を定義する
多くのリーダーが、気にかける価値があるのは標準を優に超えた、しかもきわめて目立つ貢献をしているスター・パフォーマーだけだと思い込んでいる。
「しかし、組織では毎日、英雄的な行為がなされている」と、ギャラップ・オーガニゼーションのグローバル・プラクティス・リーダーで、マーカス・バッキンガムとの共著、『まず、ルールを破れ──すぐれたマネジャーはここが違う』(宮本喜一訳、日本経済新聞社)で知られるカート・コフマンは言う。「それなのに、業績がトップクラスではなかったり、簡単には測定できなかったりする場合、そうした社員は注目されないままだ」。
トップ・マネジメントが注目しないところで貢献している有用な社員は、ともすると「Bプレーヤー」と称される。Aレベルのスター・パフォーマーのほうが一般に仕事の質の点でも量の点でも生産性が高いのだが、Bプレーヤーは別の形の価値をもたらすと、ハーバード大学経営大学院教授、トマス・デロングは言う。
たとえば、多くのBプレーヤーがAプレーヤーほど野心家ではなく、そのため一つのポジションにより長くとどまると、デロングとヴィニータ・ヴィジャヤラガーヴァンは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』2003年6月号の記事「Let's Hear It for B Players(Bプレーヤーに拍手を)」で述べている。彼らの長い在任期間は安定を生むとともに、組織の文化や政治力学やプロセスについての深い知識をはぐくむ。そのような社員は、幅広いネットワークを築いて組織の長老的存在──政治的に難しい方面からプロジェクトへの承認を取りつけようとするとき、人々が相談に行く人──になることが多いのだ。
「マネジャーがこれらの社員をないがしろにしたら、そのツケは自分に回ってくる」と、デロングは言う。
ローレン・ケラー・ジョンソン
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