お金・給料の新常識
2009年 11月 24日

「インサイト」「プリウス」買って得をするのはどちら?

「わが家のサイフ」の小さな大疑問

一口にハイブリッドと言っても、プリウスはエンジンを完全停止させて電気だけで走行でき、深夜の無音発進も可能だ。

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次期プリウスは205万円とも

 今年2月にホンダが売り出したハイブリッド車「インサイト」が好調だ。発売1カ月で1万8000台を販売。燃費リッター30キロ(10・15モード燃費)とあって、節約志向の消費者の支持を集め、立ち上がりから馬鹿売れだ。

17.3年乗れば、次期プリウスはインサイトより得だが…。
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17.3年乗れば、次期プリウスはインサイトより得だが…。

価格は、これまでハイブリッド車の主役だったトヨタのプリウスよりも40万円以上安い189万円から※。価格がネックでハイブリッド車購入を躊躇していた層が飛びついた。

トヨタからは5月に次期プリウスが発売予定だが、性能がさらに向上することから現行プリウスよりも値上がりして250万円超と予想されていた。だからこそ低価格のインサイト人気に火がついたのだが、ここにきて次期プリウスは205万円との情報が流れ始めた※。

では、どちらを買えば得なのか。

インサイト189万円、次期プリウス205万円とすると、価格差は16万円。年間の燃料代はインサイトが4万4000円で(月1000キロ走行、燃料代リッター110円と想定)、次期プリウスは3万4736円(燃費リッター38キロ)。次期プリウスが価格差を取り返すのは17.3年後になる。ただし、これは現実的とは言えないので、総出費だけで見ればインサイト有利だ。

しかし、一口にハイブリッドと言っても、プリウスはエンジンを完全停止させて電気だけで走行でき、深夜の無音発進も可能だ。これがフルハイブリッドだとすると、インサイトはいわば簡易型ハイブリッドで、常にガソリンでエンジンを回していて、電気は補助的に使われている。電気だけで走る仕組みがないのだ。この性能差をどう評価するかだ。

次に、現行プリウス※とインサイトではどうだろうか。

現行プリウス※はインサイトと同じ189万円に大幅値下げして対抗するといわれる。トヨタが本気でホンダ潰しに動き出したのだ。現行プリウスの燃費はリッター35キロなので、最初から現行プリウス有利だ。しかも、ハイブリッドの仕組みから見ても格段にプリウスが上と言える。つまりコスト、性能ともに現行プリウスに軍配があがるのだ。

これまでガソリン車に比べて割高といわれていたハイブリッド車も、ホンダとトヨタの競争でぐっと身近になる。しかも、4月から実施されているエコカー免税制度を利用すれば、クルマの条件によってだが、最大で自動車取得税8万5000円と自動車重量税5万6700円がなくなる。

さらに政府が発表した新経済対策では、新車登録から13年超の自動車を廃車にして、2010年度燃費基準を満たす新車(新車の9割が対象)に買い替えると25万円(軽は半額)が助成される。登録13年未満の買い替えでも、同燃費基準より15%以上燃費効率のいい新車(新車の4割程度が該当)を購入すれば普通車で10万円(軽は半額)の助成がある。

インサイトかプリウスかで迷っているなら、今買い急がず、次期プリウスの詳細や現行プリウス値下げの正式発表を待ち、5月のトヨタとホンダの激突を見てからでも遅くないだろう。

もっとも、1円でも総出費を抑えたいなら、ガソリン車ながら燃費がリッター24キロのホンダ・フィットは134万円(Gグレード)。10年間の総出費(車体+燃料)はなんと189万円。ダントツに安上がりなのだが……。

※すべて雑誌掲載時の情報

>>「『わが家のサイフ』の小さな大疑問」は10回連載。目次はこちら

プロフィール

松下 宏

自動車評論家

1951年、群馬県生まれ。自動車業界誌記者などを経て独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。近著に『国産乗用車60年の軌跡』(共著)。

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